女社長は12歳
「きらら、今日はどうした？　具合でも悪いか？」

「あ、大丈夫です……」

「そうか？　ならいいけど……なにかあった？」

武田は、きららに背を合わせるように軽くしゃがみ、顔を覗き込む。

「……別に、なにもないです…」

きららは顔を赤くして、目線をそらすかのように少し顔を斜めに向けた。

なにを隠そう、武田コーチのことを、きららは密かに憧れていたのである。

いや、その感情はもはや憧れを通り過ぎ、淡い恋心へと変化しているのかもしれない。

今のきららは、武田の前でいいプレイをすることで自分の事を注目してくれることがうれしく、また励みにもなっているのである。

「なんか悩んでない？　いつもと表情が違う」

「……まあ、悩んでないこともないです……」

「俺に言えないようなこと？」

「……」

「ちょっと待ってて！」

武田はダッシュで更衣室に行き、すぐに帰ってきた。
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