女社長は12歳
「……え?」

きららは、目が点になった。

「なんじゃと? きららにやらせるというのか?」

良造も、目を白黒させ神野に聞き返す。

「はい、これを売る戦略を考えていただきます。その企画が会議に通れば、私は彼女を社長として認めましょう。しかし、たいした案も出せないのなら、この先会社に利益をもたらしていただける、とは考えにくいので、社長にも今一度考え直していただきます。どうですか?」

「うーん」

良造は腕組みしたまま、考え込んだ。

きららは、自分がどうしたらよいのかわからず、成り行きを見守ることしかできなかった。

「しかし、いきなりお嬢さんだけに企画を出させるのは、ちょっとどうかと思うのですが」

経理部長の木村が神野に言った。

「もちろん、最終的な企画はみなで決めるよ。だが、これくらいの企画を持ってこれないようでは、この先会社にいても、逆に辛い思いをするだけなんじゃないか? ここは仕事をする場所なんだ」

神野は、あくまで冷静に、それでいて強い口調で木村をたしなめた。

良造はそのやり取りをみたあと、ため息を一つつき、ソックスをきららに渡し言った。

「……のう、きらら、これを売る企画、考えてみんか?」
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