女社長は12歳
午後三時のスーパーは子供を乗せたカートを押す主婦の軍団で占拠されていて、通路を真っ直ぐ歩くのが困難な状態である。

「ねえきらら、どこに行く? まずはソフトクリーム買いに行こうか」

彩がきららに問いかける。

「うん……あ、でもちょっとその前に、二階行っていい?」

「二階?」

きららはそういってエスカレーターに向かう、彩も後ろをついていった。

二階に上がるときららは衣料売り場へと一目散に向かう。

そして、ソックスのコーナーで足を止めた。

「きらら、ソックス買いに来たの?」

「ううん? 買いに来た訳じゃないよ。ただ、ちょっと見たいだけ」

「そうなんだ……あー? もしかしてマーケティングってやつ?」

「まあ、そんなとこかな」

きららは上を見ながらつぶやいた。

「へえ~、さすが社長だね」

「やめてよ……」

きららは彩に茶化されながらも、売り場を観察に入っていた。

しかし、売り場に置いてあるのは主にスポーツメーカーのもので、奇抜なデザインのものはない。

数段にわたりサイズ別に陳列されているが、特別工夫してるようには感じられない。

――特に参考になるようなことはないか……

きららは、これといった収穫もないな、といった表情であたりを見回した。
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