白衣の悪魔を愛してる
「えと…なんで…」



「“なんで”って…」



すると、そんなあたしの心情を察してか、ひとつ息をつき、軽く舌打ちした先生は、



「あ~もういいわ。答えるのも面倒くせぇ。とりあえず、出るぞ。」



「えっ?」



「山下先生っ!!」



「へっ…はっ、はいっ!!」



「スンマセンッ!!坂下、保健室に連れてってきますっ!!」



「あっ…えと………どうぞ。」



「じゃ、行くぞ。」



マイク片手にあ然とする山下先生…



いや、体育館にいる全員を気にすることなく、あたしをお姫様抱っこしたままスタスタと歩き始めて…



「キャー!!あたしも抱っこして~!!」



「センセー!!カッコイイー!!」



「なになに?」



「うっわ~!!スッゲェ~!!」



沈黙の後、一気にざわめく場内の声を気にすることなく、しれっとした顔で歩き続けて…



「先……生…」



「あ?」



「恥ずかしく……ない…の?」



「は?」



「あたし……恥ずか……しい…。」



嬉しい…けど、



恥ずかしすぎる…。



みんなの声で自分の置かれている状況にハッとし、ジワジワと恥ずかしさが込み上げてきたあたしは、



真っ赤に染まった顔を先生の胸に埋めながらギュッとスーツを掴んだ。

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