白衣の悪魔を愛してる
「だから…」



「はぁ…」



でも、大きなため息をつき、呆れたような顔であたしをチラ見した先生は、



「んなもん気にしてて、保健室のセンセーなんてやってられるか。」



「えっ…」



「俺は、お前…お前らみたいな奴らがいるからこその俺なんだし…」



「あっ…」



まっすぐ前を向いたまま、ぶっきらぼうにそう呟くと、



「なにもやましいことなんてねぇ。お前だってそうだろ?」



「あっ…うん。」



「だから、お前も堂々といい子にしてろ。黙って俺に抱かれてろ。………お前を保健室に連れてってやれるの、今日で最後なんだから。」



恥ずかしがって真っ赤になってるあたしの方がおかしいみたいに、周りなんて全く気にすることなく堂々と歩き続けて…



「石井先生。スイマセン、そこの紅白幕捲ってくれませんか?」



「あっ…はい。」



「ありがとうゴザイマス。」



「いえ…」



「よいしょ…っと。」



「って、足っ!?」



「ん?」



「それは…ちょっと無理なん…じゃ…」



「いや、思いっきり蹴れば…」



「………どうぞ。」



「あっ、スンマセン。」



「いえ…。」



ザワザワと落ち着きを取り戻すことのない場内も、それを鎮めようとマイク片手に声を張り上げてる教頭先生の声も、我関せずといった感じで、石井先生が開けてくれたドアから体育館の数段しかない階段を降りていって…

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