白衣の悪魔を愛してる
窓の外は少しだけ霞みがかった青い空と、ものすごい勢いで流れる白い雲。



目を瞑り、少しだけ耳をすませると、ビュービューと強い風の音とガタガタとガラスを叩きつける音がする。



これって、春一番…かな?



卒業式の日に“春一番”って…



アタシ、



どんだけツイてないんだろう。



制服を着ていられる最後の日…



ううん。



今日はあたしにとってなによりも特別な日だから、いつもより1時間も早く起きて気合い入れて髪セットしたのに…



これじゃ全然意味ないよ。



この風じゃ、保健室…先生に会いに行く前…



ううん。



体育館出た瞬間、髪の毛グシャグシャだよぅ。



そんなの絶対無理。



間違いなく笑われちゃう。



間違いなく呆れられちゃう。



しかも、もしそのせいで返事が変わっちゃうようなコトがあったりしたら…



あたし、



一生立ち直れない…よ。

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