キミ専用テレパシー
慌ててボサボサの髪を整えていると、トントン、と控えめなノックが聞こえた。
「は、はい。」
「神田です。入っていいですか?」
「…どうぞ。」
ガチャリ、とドアが開いて、ユニホーム姿の神田くんが入って来た。
「すいません、突然。」
「いえいえ。すいません、わざわざ。」
会った途端、お互い謝りまくりの私たち。
「これ、お見舞いです。」
神田くんが持っていたビニール袋には、ゼリーやスポーツドリンクが入っていた。
「ありがとうございます!」
「思ったより元気そうで安心しました。君は試合に来ないのに、お弁当だけ来たから、びっくり。」
スポーツバッグをおろした神田くんは、ベッドの近くに正座した。
「あはは。約束ですから。守りますよ。」
「うん、うん。だから、今日は謝りに来たんです。僕、君がこんな事になってるって知らなくて…。千香ちゃんに家の場所聞きました。」
「えっ…!そんな、そんな。」
珍しく、本当に申し訳なさそうな顔をされたので、慌てて否定しようとしたのに、本人はすっかり落ち込んでしまった。