キミ専用テレパシー




「彼女は、確かに僕の前の恋人だけど、それは昔の話だから。あっさりフラれちゃいました。」


「え、そうなんですか…。」


「ふふ、そうです。好きな人が出来たらしくて、あっさり。あまり一緒にいてあげられなかったし、仕方ないですけど。」



神田くんは、小さく微笑みながら眉毛を下げて、ため息をついた。

本当に大好きだったんだなぁ。

神田くんは、感情が顔に出ないから、雪ちゃんが不安になるのもわかる気がした。



「大好きだったんですね、本当に。」


「僕なりに愛してたんだけどな…。やっぱり乙女は難しいよ。わからない。」


「まぁ、神田くんは変り者ですから、もっと謎ですけどね。」


「むむ…、なんだと。君には言われなくないな。そんな事言うなら…」



神田くんはそう言うと、カバンの中から何かを取り出し始めた。


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