*
入ったのはいつもの
安いラブホテルとは違う、
少し高級な場所だった。
若い男。
だけどどこか大人びている。
「好きにしてください」
男は灰色のスーツを脱いだ。
私をそっとベッドに押し倒す。
シャツのボタンが外される。
スカートを捲られ、
脚を撫でられる。
自分の身体が微かに
反応するのを感じる。
脚にキスを落とされる。
男の髪に手を入れる。
舌が身体中を這う。
「‥‥っ」
温かい息を感じた。
スカートを下ろすこともせず、
口づけすることもせず、
ただ、子猫のように愛撫。
それでも、今までの
どんな男との行為よりも
満たされていると感じた。
身体が熱く潤うのを感じた。
「あっ」
時折漏れる私の声に
男はくすっと笑った。
その声は、演技ではなかった。