入ったのはいつもの
安いラブホテルとは違う、
少し高級な場所だった。

若い男。
だけどどこか大人びている。


「好きにしてください」

男は灰色のスーツを脱いだ。
私をそっとベッドに押し倒す。

シャツのボタンが外される。
スカートを捲られ、
脚を撫でられる。

自分の身体が微かに
反応するのを感じる。

脚にキスを落とされる。

男の髪に手を入れる。

舌が身体中を這う。


「‥‥っ」

温かい息を感じた。

スカートを下ろすこともせず、
口づけすることもせず、

ただ、子猫のように愛撫。

それでも、今までの
どんな男との行為よりも
満たされていると感じた。
身体が熱く潤うのを感じた。

「あっ」

時折漏れる私の声に
男はくすっと笑った。

その声は、演技ではなかった。
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