私の足は自然と
駅の自転車置場へ向かっていた。
また、あの人が
泣いていると思ったから。

でも、誰もいなかった。

わかってはいたけど、
心のどこかで今日もいるのではないかと期待していた。


久しぶりに真っ直ぐ家に帰った。

ここ最近、というか
ずっと母の顔を見ていない。
母は私が売りをやっていることを
知っているのだろうか。


知っているはずがない。

母は私に無関心だから。

私が身体を売っていようが、
子供ができようが関係ない。
もしかしたら私が殺されても
気づかないのかもしれない。
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