地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
そのまま5時間が過ぎた―――。
杏は、あれから何も言わず……ソファーの下に座り込んで、パズルをやっている。
メシやお茶などは、いつもと同じようにしてくれているが――…
まったく喋らない。
静かに黙ったまま、手だけを動かしている。
そうこうしている内に、俺の仕事が終わった。
コーヒーの入ったカップだけを持ち、杏の隣へ腰を下ろす。
「仕事…終わったの?」
「終わった」
「お疲れ様………」
「サンキュ」
頭を撫でると、嬉しそうにハニかんだ。
いっつも放置だから……悪いよな……。
ちゃんと構ってやらないと、すぐにどこでも行きそうだ。
「杏…おいで?」
「………」
両手を広げると、一瞬キョトンとなったが、すぐに飛び込んで来た。