地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ

「無理だよ……」

耐えられなくなったのか、俺に抱き着いて来る。



「あのね…昨日ね……被害者の女子高生のところに行って来たの。」

「それで…?」

「みんな意識不明で…家族も彼氏さんも泣いてた……」

「………。」

「………だからね、次の被害者を出したくないって思ったの…」



あぁ………覚悟してんじゃん。

さすが……神崎一族の一人だな。


「被害者の……彼氏さんが見てられなかった……」


“代わってやりたい”という表情でずっと寝たきりの彼女を見つめていたらしい。

杏は、前の俺らに重なって見えたんだよな。


そんな杏を見たら、俺が言うことは…ひとつだ。



「杏。」

「……。」

「顔上げろ」

「………うん……」


目線を合わせると、少し微笑み掛けた。


「東雲……行ってこい」
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