地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
歩くの速いなぁ………。


キョロキョロと周りを見るが、
黒髪君はいなかった。




「さて……朝比奈さんに、会いますか」


コンコン………。


「どうぞ」


中から落ち着いた返事が聞こえて来たのを確認して、威圧感たっぷりの扉を開ける。



「失礼いたします」


一礼して、中へ入った。




「あぁ……神崎さん。よくいらして下さいましたね」


ニッコリと柔らかい笑みを浮かべて、朝比奈さんが迎え入れてくれる。



「本日から、よろしくお願いいたします」

「いいえ…こちらこそ」


理事長用の椅子に腰掛けていたのを、応接用のソファーへ移動した。



「さぁ…掛けて下さい」



熱い紅茶を入れながら、あたしにソファーを勧める。
< 123 / 657 >

この作品をシェア

pagetop