地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
「何。杏は、休日までも俺を働かせたいのか?」
「ち…がう……」
「…大丈夫だ。会社には行かねぇから」
握られた指とは反対の手で、優しく微笑みながら、もう一度頭を撫でた。
すると安堵したのか、嬉しそうに笑う。
「そっか……あたし邪魔じゃなかった?」
「はァ?」
「突然来て……ごめんなさい」
「………」
「……顔見たくなっちゃったから…我慢しなきゃいけないのに…」
大きな目に水が浮かぶ。
睫毛が揺れ……伏せ目になった。
「…………っクク……」
「…へっ?陸…?」
「バッカじゃねぇの?」
「はい!?」
ぱちくりと伏せていた目が開く。
「俺が…自分の女が会いに来て、邪魔物扱いするような男に見えんのか?」
「………ッ……」
“ちがう”とでも言うように、ブルブルと首を横に振った。