地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
振り向くと…渋めの色の着物に身を包んだ初老の男性が立っていた。


「久しぶり…じいさん」

「しばらく見ない内に、また大きくなったのぉ…」

「まぁ…高3だからな」


穏やかな雰囲気を纏い、会長に優しい表情で話し掛けるこの人こそ……

現在の警視庁長官――…高瀬泰造さんだ。

会長の御祖父様―――…。


「皆さん、今日はよくいらしてくれた。楽しんで下され」


ニッコリと周りにいたあたし達に微笑みかける。


あたしを見た瞬間…。


「………蓮、可愛いお嬢さんを連れて来たなぁ」

「………」


目だけで『お久しぶりですな』と言われた。

ペコッと頭を下げる。


皆は、あたしが泰造さんと、知り合いってことは知らないから……初対面のように装った。
< 281 / 657 >

この作品をシェア

pagetop