地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
あれほどくっついていたのに……パッと離れる。

一目散に、ベッドへ走った。


に…逃げた……?

なぜ?


「杏?薬飲まなきゃダメだろ」


ソファーからベッドに潜り込んで、チラッとこちらを伺っている杏に、言い聞かせる。


「や!」


プイッと顔を背けられた。

おい。二度目かよ。


「杏、薬飲まなきゃ…熱下がらねぇだろーが」

「……やっ!」

「………」


コイツ……薬嫌いか?

でも、今までなら…ちゃんと飲んでたはず。

ぶっ倒れた時も、入院した時も。


ベッドに腰掛け、布団に包まる杏の顔を覗き込む。


「薬……嫌い?」

「………」


コクンと頷いた。


マジですか。

つーことは、今までは俺の前でさえ、我慢して飲んでたってことか…。
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