地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
携帯を耳に当てる。

「はい、もしもし…」

誰だろう?
番号からして、携帯からかけてきてるのは、わかるんだけど。

あたしの携帯にかけてきたのは─────




《もしもし?あなた、神崎杏樹?》


あの日の電話に出た女性だった───。


携帯を握る手に、思わず力が入る。

少し…汗ばんできたようにも思えた。


「……はい」

隣にいる柚莉が、心配そうにあたしの顔をのぞき込む。

強ばった顔で笑顔を向けた。
柚莉には、泣き顔にも見えたかもしれない。


《まだ陸と別れてないの?》


『別れる』という言葉に、ドクンと心臓が波打つ。

指先が冷えていくような感じ。


「………」

《私、この前言ったわよね?早く別れた方が、傷が浅くて済むって》

「………」

強気な声に、言葉が出てこない。








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