地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
「ねぇ?さっさと別れてくれない?」

「……っ…」

怒りを込められた視線に、体が凍りついた。


「二宮の名前を聞いても、ピンと来ない?」

「えっ?」


二宮?

二宮薫?


「私、二宮商事の代表なの」


あぁ……そうか。

二宮商事…。

宝石の業界では、最近有名になりつつある会社だ。

二宮さんが、その社長なんだ。



「…私の言いたいことわかる?」

「………」


彼女が言いたいことなんて…もうわかっちゃった。

でも、口には出さない。


二宮さんは、それが『わからない』と見えたのか…。

「大企業を背負う陸とあなたじゃ釣り合わないの。陸のために、別れて」


はっきりと言葉に出して言ってきた。

その言葉…何度も言われてきたはずなのに、二宮さんに言われると…心を切り刻まれた気分になる。
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