地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
「失礼します」
頭を下げて、二宮さんと別れる。
背中を向けて、歩き出した瞬間。
「薫さん」
もう…その声だけで、誰なのか、わかってしまう。
とっさにロビーの観葉植物の影に隠れた。
二宮さんに笑顔で近寄る人を見る。
「待った?」
「全然、ランチしに行きましょ」
二宮さんが、さっきとは180°違う笑顔で、その人の腕に自分の腕を絡める。
全然違和感がない2人。
高校生でも……浮いてないよ。
むしろ……すごくお似合い。
誕生日は、あたしの方が早いのに……彼…陸の方が、ずっと大人っぽい。
────泣かない。
泣くのは──…1人になってから。
大丈夫…2年前の生活に戻るだけだよ。
我慢すれば、大丈夫。
もっと頑張らなきゃ。
頑張らなきゃ。