地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
体中についた甘い香りの移り香がイヤ。

今すぐ…洗い流したい。


隣で眠る陸の腕から、どうにか逃げ出して、ベッドの下に落ちてる服を着た。


陸の部屋にあるあたしの私物を、バックに詰める。

そんなに多くなかったから、助かった。


「──抱くために呼ばれるなら…もう来たくない」



陸の枕元に置かれた“あるモノ”を見つめる。


近くにあったメモ帳に、走り書きで帰ることを書き込み…部屋をあとにした。



───二度と陸の部屋には行かないと心に決めて。





陸ん家を出て、自宅までの道を歩く。

でも、家にまっすぐ帰る気になれなくて……近くの公園に立ち寄った。


空は紅く染まり始めて……遠くには綺麗な夕日が見える。


公園内には誰もいなくて……静かだった。
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