地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
会長の浴衣を握る。


「………杏樹」

「え……」


初めて……本当の名前で会長に呼ばれた。

驚いて顔を上げる。


「会長?今…名前……」

「………」

じーっと見つめられた。


「…アイツがいるなら、諦めようと思ってた。アイツの隣にいた時は、笑ってたからな」

「会長……?」

「でも、泣かせるなら…奪っても良いよな」

スーッと頬を指で撫でられる。

「か…い……ちょ…」

その目は、すごく温かくて真剣で……いつもと違う雰囲気に、緊張した。



「……杏樹」

「はい…」

緊張で目線が、キョロキョロしてしまう。


「こっち見ろ」

「……っ…」

浴衣を握りしめて、なんとか会長の顔を見た。








「…好きだ。……ずっと傍にいてやる。絶対泣かせねぇから…俺んとこに来い」
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