地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
問い掛けても……返ってくるのは、電子音と呼吸音のみ。



しばらくして、悠と松沢が来た。


杏の痛々しい姿を見て…悠の胸で泣き出す。


生死と闘っている杏に、俺は何も出来なくて……手を握るしかない。


どんな風になっても良いから…。

どんな障害が現れても、絶対に離さないし、離れないから……。


「……生きてくれ……」


お前がいないと…メシさえロクに食えなくなる。

この間でよくわかっただろ?

死んだような毎日になるんだよ。


杏がいなきゃ……俺が壊れる。


「知ってんだろ?お前がいなきゃ…俺が人形になることくらい…」


握る手に、力を込めた。









だが、杏は起きたくないのか──


目を覚まさないまま…1週間が過ぎた。
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