地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
あたし……まだ陸が好き?


「おい、杏樹」

「……」


パチン!!


「杏樹!」

「ヒャッヘ!?」

目の前で手を叩かれて、会長がいたことを思い出した。

自問自答ばっかりして……自分の世界に入ってた。


「何度呼んだと思ってんだ」

「ごめん……」

顔を上げて……会長を見る。


「……今日は検査で疲れただろ。さっさと寝ろ」

「うん」

コクンと頷いた。


時刻は8時を過ぎてる。

面会時間も、そろそろ終わりだ。


「じゃあな」

「おやすみ」

あたしの頭をひと撫ですると、病室を出ていく会長。

1人になったら、静か過ぎる。

個室だから……仕方ないんだ。


床頭台に置いてある陸からもらったネックレスを取り、揺らしてみる。

紅いオパールが、キラキラと蛍光灯の光を受けて輝いていた。

そう……まるで、陸とあたしが笑い合ってるように。
< 545 / 657 >

この作品をシェア

pagetop