地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
出迎えてくれたのは、杏の家族ではなく───……。


「いらっしゃいませ、こんばんは。滝本陸様」


神崎渉社長にそっくりな子供。


杏は一人っ子だ。

兄弟はいねぇーし、だとすれば……。


「社長の式か……」

「ご名答。我は、渉様の式にございます」


そいつは律儀に頭を下げ、俺をリビングへ案内する。

式が先に入り、あとへ続いた。


経済界で確かな地位を持つ神崎家だが、もうひとつの家業……“陰陽師”でもある。

俺が来たことくらい、門を通ったところから御祖父様達にはお見通しだ。


「夜分遅くにすみません」

挨拶と一緒に頭を下げた。


「良いんじゃよ、頭を上げなされ」


ソファーでお茶をすする御祖父様の言葉で、ゆっくりと顔を上げる。
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