地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
今度は、逆にあたしが……まじまじと顔を見られる。

何かついてるの?


そう聞こうとした時、あたしよりも陸が早く問い掛けてきた。


「……杏、俺のこと……見えてんのか?」

「あ……」


言われて気づく。

もう……ちゃんと全部見えてることに。



柔らかくてサラサラしたブラウン色の髪も、整いすぎてるキレイな顔も。

大きくて温かい手も……全部。


「……見えてるよ……きゃっ…」


あたしの返事を聞くと同時に、腕を引っ張られて抱きしめられた。


「やっと……戻った……」

両手で頬を挟み、額をくっつけられる。




待って……まだだよ。

聞きたいこと、言いたいことある。



「りー……」

「ん?」


陸の手に、自分のを重ねて握った。
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