地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ

「ね……二宮さんに、ネックレスをプレゼントした?」

「するわけねぇだろ」

「陸と全く同じモノをしてたよ?」


そう言うと、少し黙り込み考えるような表情になった。


「二宮商事は宝石商だ。俺と同じアクセを作るくらい簡単なことなんだよ。勝手にアイツが作っただけ」

「……プリンスホテルで“薫さん”って呼んでたじゃん」


至近距離で、まだ残っている質問をする。


呼び方が親しくない?

ただの取引先の社長相手にしては……。


「あの女が、そう呼べって命令すんだよ。商談成立のために、合わせてただけだ」

「どうして陸の携帯に出たの?」

「一度、レストランに忘れたんだよ。その晩は、アイツが持ってたんだ」



目を反らすこともなく……まっすぐにあたしを見て答えてくれた。
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