地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
いつの間にか、あたしの両手は自由を取り戻し、陸から解放されていた。

首に腕をまわして抱きつく。

“ありがとう”と“大好き”の意味を込めて。


「…………杏を食いたくなった」

「だ~めっ! 今度いっぱいして?」

「……拷問だろ」

ブツブツ言ってる陸を「よいしょ」と退かして、起き上がった。

パジャマのボタンをしめる。


今日はムリだよ。下に、お父さん達いるし。

まだ、やらなきゃいけないこと残ってるしね。


でも…………ちょっとくらいなら良いかなぁ。


「りー……」

「あ?」

床にゴロンと仰向けで寝てる陸の顔を上からのぞき込んだ。


一瞬だけ、唇を重ねて、すぐに離れる。


「ちょっとだけだよ?」

ペロっと舌を出して笑いかけた。


突然のことに、驚いてる陸。


< 578 / 657 >

この作品をシェア

pagetop