地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
ちょうどその時。

「杏樹~?」

お母さんがリンゴを持ってきてくれた。


「は~い」

立ち上がって、扉を開ける。


「もっと食べるなら言いなさい。まだあるから」

「うん、ありがとう」

トレーを受け取り、扉を閉めた。

テーブルに置いて陸の方を見ると、固まってる。

まあ、放って置いてもいいか。


お皿を持って、リンゴを食べようとした瞬間。


「杏おいで」

「きゃっ」

腰を掴まれて、引き寄せられた。

陸が起きあがって胡座を掻いた中に、収まる。

胸の下に腕をまわされて、抱きしめられた。


どうやら、今日は手が出せないので……せめて、くっついていたいみたいです。


変態バカ殿様が我慢してるんだから、これくらいいっか。


そのままの状態で、すったリンゴを平らげた。



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