地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
うん。まあ、今はどうでも良いか。


「繭ちゃんには、そんな人いなかった?」

「いない…………」

さらに、大きな瞳に涙が溜まってくる。


昔のあたしにそっくりだ。

柚莉と出会うまで、友達は妖怪達のみ。

人間からは嫌われ、畏れられ。

居場所がなかった。

何度も、聞こえてきた「化け物」という言葉。

泣くことは出来ず、毎日耐えてた。

だから、理解をしてくれる友達が出来た時の喜びはすごかった。


あたしのすべてを受け入れてくれる……陸という存在が出来た時は、もっと嬉しかった。


そうだ。

繭ちゃんにも、そういう存在が出来たらいいんだ。

そうしたら、寂しくなんかなくなる。


「繭ちゃん、おいで?」

両手を広げた。

「……っっ……」

泣いている彼女を教壇から、抱き上げる。

人間の子ども、会長の弟の飛鳥君を抱くように、繭ちゃんを抱っこした。


「化け物って呼ばれるのがイヤなら、あたしの傍においでよ。ずっとこれから守ってあげる」


ニコリと微笑む。


あたしの近くで暮らせばいい。

命がある限りは、傍にいてあげるから。






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