地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
その時。

「杏樹!」


後ろから、名前を呼ばれた。

パッと振り返る。

会長以外に、名前を呼ぶのは、誰?


振り向いた先に立っていたのは…………。


「ゆ、柚莉!?」

正門を出て数メートル先のところに、相澤君と手を繋いで、立っている親友。

あたしが存在に気付いたとわかったからか、ブンブンと手を振ってる。

ど、どうして?


「迎えに来たよ!」

パタパタとこちらへ駆け寄ってきた。


「ごめんね、神崎さん。柚莉がどうしても来たいからって……」

苦笑気味に、相澤君がここへ来た理由を話す。

あたしが家に帰るまで、待てなかったらしい。

可愛いことをしてくれますな。

この親友は。


「だって、ズルイじゃん! 彼だけなんて……」

「えっ?」

柚莉の言葉の意味が分からない。

彼って、誰?

不思議で、首を傾げた瞬間。



「キャアアアアアーー!」

周りにいた生徒達から、黄色い歓声が上がる。



同時に、あたしの体が宙に浮いた。


< 617 / 657 >

この作品をシェア

pagetop