地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
高3になっても、こういうところだけは子どもっぽい。

もう…………仕方ないなぁ。


ひとまず、零ちゃん達とお別れをして正門から出る。

これからは別行動になるので、柚莉達ともバイバイをした。


繭ちゃんの手を引き、陸と一緒に学園から離れる。


閑静な住宅街を歩き、近くの公園に入った。

夕方だけど、誰もいない。

ここなら大丈夫か。


「ごめんね、ちょっと1人で遊んでてくれる? お兄ちゃんに用があるんだ」


繭ちゃんに一言断って、遊具の方へ行かせる。

遊び始めたので、周りを見て、誰もいないことを改めて確認した。

ぐいぐいと陸の手を引っ張って、大きな木の陰に連れてくる。


「どうしたんだよ」

まだ、拗ねてる感じ。機嫌を直してもらうにはこれが1番だと思う。


「ちょっと屈んで?」

「は?」

不思議そうな表情になったけど、屈んでくれた瞬間。


「20分だけだよ? 繭ちゃんいるんだから」


小さく囁いて、陸の首に腕をまわし、唇を重ねた。

ちゅっと軽く重ねるだけで、すぐに離れる。


「時間守れるなら、陸の好きにしていいよ」

「マジ?」

パッとあからさまに明るくなる表情。

「ホント。……30分だけだからね」

プラス10分してあげることだけを告げて、またキスをした。






ーーーーー30分後。

「杏ちゃん最高♪」

陸の機嫌が、キレイに直ったのは、言うまでもない。
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