地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
昼休みが終了することを知らせるチャイムが鳴ると、陸が起き上がった。


「機嫌は直った?」

「……」

無言ですか?

無視ですか……?


黙ったままの陸を呆れたような目で、見つめていた時。


「……っ……!?」

繭ちゃんがすぐ近くにいるのに、いきなり後頭部を引き寄せられて……口を塞がれる。


「りっ……」

「ダメ。まだ」

離れようとしても、腰まで抱き寄せられて……逃げられない。


「あーちゃん……?」


ギャアアアアアア!

繭ちゃんに見られちゃったじゃない!!

教育に悪いよっ!?


不思議そうな無垢な瞳で、あたし達を見ているのが……見えなくてもわかる。


「繭、松沢のところへ行っておいで。遊んでくれるだろうから」


一旦、あたしから離れた陸が優しげに言った。
< 625 / 657 >

この作品をシェア

pagetop