地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
カツカツ……と、周りは騒がしいのに。

彼女の歩くヒールの音が恐怖のあまり聞こえてくる。

か、会場から出ようっ!



繭ちゃんを連れて、早足で入口へ向かおうとした。

しかし。


「待ちなさいよ、ブス!」

周りに、お客様がいるにも関わらず……暴言を吐かれて、足を止められる。

直後に、肩を掴まれて……振り向かせられた。


「に、二宮さん……」


見上げた先にあるのは……濃い化粧で迫力の増した二宮商事社長の顔。

あたしに対する憎しみで、酷く歪んでいる。


下にいる繭ちゃんが、ただ事ではないと感じたみたいで、彼女を睨みつけた。


「……あなたのようなブスで庶民の娘が、私のパーティーに来ていいと思ってるの!?」

「……す、すみません……」


広い会場中に響き渡るような怒鳴り声。

怖くなって、体が震え始めた。
< 635 / 657 >

この作品をシェア

pagetop