地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
陸に呼ばれた神崎一家も、あまり何も聞かれないうちに……会場を出て行く。


杏樹の顔が見られていたのは、ほんの数分。

近くにいた重役達のみ……。


「ぜひ嫁にとお願いされることは……ないだろう」


渉や樹里が、当主の話を聞いて、ホッとしていた。



「ママ……あーちゃんどこ?」

「あらっ……」

祖父のとなりにいたため、繭は、杏樹においてけぼりを喰らっていた。


「あーちゃん……りーくんが連れて行っちゃった……どこにいるの?」


杏樹がいないため、今にも泣き出しそうな表情になる。


「連れてってあげるわ」

樹里が繭を抱き上げて、あやすように背中を叩いた。

4人で、たぶんいるであろう……部屋に向かう。


「あーちゃん……」

繭が、杏樹の名前を呼んだ。
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