地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
――陸Side――

前から考えていた計画は無事に成功し、二宮にダメージを与えることが出来た。

杏を連れて、またホテルの部屋へ戻った。


中に入った瞬間───……。


「りー……」

杏が甘えるように、後ろから俺に抱き着いてきた。


「どうした?」

「ん……」

問い掛けてみても、腕の力を強めるだけ。

仕方がないので、そのまま歩き、ベッドの前まで来ると、杏の細くて白い腕を引きはがした。

振り返って、顔が見えるように、後ろにあるベッドへ腰を下ろす。


「……商談白紙にしちゃって……よかったの?」

「あぁ。これは、俺が決めたことじゃねぇ……判断は親父だ」


もともと、杏のことを話す前に、商談をやめるように言われた。

杏のためだけじゃない。

契約をしなかったからって、会社がどうこうなることもないからな。
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