地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
若干………俺って杏チャンに振り回されてる?


俺って…“振り回す”方なんだけど。




テキパキと乱れた服を直して、手を引く。


腕時計を見ると、ちょうど7時。



「ワリぃな…御祖父様に遅くなりましたって、謝っといて」

「うん…………」



だああ゛あ゛あ゛〜〜〜〜!!

だから!上目使いで見るな!!


何気に服の裾を握ってるし…。

チワワがしょんぼりと耳を下げたような感じだ。



「帰したくなくなることばっかすんなよ……」

「え?」


キョトンと目を真ん丸にした。


あーもー………天然ですか!


数回深呼吸をして……甘えるような表情の杏の頭を撫で、理性を保たせる。


「じゃあな」

「うん……」


ちょっと拗ねた表情のままだったが、無理矢理家の中に入れた。





「………危なかった………」



杏の家の門に寄り掛かり、俺が頭を抱えていたということを…杏は知らない。
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