君のホームランで、連れてって!!
俺は、何を迷っていたのだろう。
ガバッと俺は体を起こした。
「悠?」
不安そうな顔の菜緒の顔に俺は顔を赤くした。
「俺、気づいちゃった」
「え・・・?」
俺は立ち上がると茶色くなった砂をはらった。
「ほら、菜緒」
俺は手を差し伸べた。
「うん!!」
菜緒が俺の手を頼りに立ち上がる。
「俺・・もう少し頑張るから」
俺は、菜緒のほうをじっと見つめた。
「菜緒」
きゅっ・・・・・
「悠・・・」
俺は菜緒を抱きしめたままそっと呟いた。
「俺、絶対連れて行くから」
「うん・・・」
「絶対、菜緒を甲子園に連れて行くから」
「ありがと・・・悠」
俺らは長い間、抱きしめたまま永遠の誓いをしたようだった。