君のホームランで、連れてって!!
「えっと、話はズレましたが・・・」
菜緒は話を元通りに直した。
皆はまだそっぽを向いたまま。
不二は、不機嫌な顔をしていた。
悠も出番がなくなったかのようにしていた。
「あのぅ~・・・みんな?」
菜緒は必死に機嫌を取り戻そうと努力した。
「あーはいはい。わかりましたよ! 私のせいですね!」
皆はキツイ目になっていた。
帰りますよ。 と言わんばかりに不二を睨んだ。
「おいおい。そんな顔すんなよ」
悠が不二の皆の間に入った。
「何だよ。悠、入ってくんな!」
不二が悠を突き飛ばした。
!!!
「てめっ・・・・」
私たちは、まるで壊れた楽器のように尖った言葉を言い続けた。
菜緒は涙目になっていた。
悠が菜緒のために用意した、誕生日プレゼントにイベント。
最高の言葉に飛びっきりの笑顔。
今はそんな形の欠片もない。
菜緒は、悲しみとショックのあまり声が震えていた。
今回はみんな、菜緒を祝ってあげる気持ちでいっぱいだったはずなんだ。
でも、気持ちが空回りしてしまった。
みんながみんな、言いたいことがありすぎたんだ。
ちゃんと順番を決めていれば、よかったね。
菜緒は、いい加減に終わることのない口喧嘩に飽きれてしまっていた。
ついつい、笑みが零れてしまったんだ。