君のホームランで、連れてって!!
不二。
茶色のサラサラヘアー。
吸い込まれそうなブルーの瞳。
忘れることのできない桃色の唇。
「跡部 菜緒・・・ちゃん。驚いた?」
あたしは、声変わりした不二の顔に引き寄せられた。
「不二・・・。」
あたしは、思わず口に出してしまった。
「菜緒。」
いきなり呼び捨てで、あたしは胸がなった。
ダメ。
駄目。
だめだよ。
あたし。
『菜緒』
は、悠しか呼んじゃだめなんだから。
「・・・め。だめ。」
あたしは、小さい声で言った。
「何?菜緒ちゃん。」
よかった。
呼び捨てじゃない。
「い、いえ。何も。」
あたしは、俯きながら言った。
「『菜緒』は悠だけだ って思ったんだろう?」
え!?
どうして、それを。
なんで。
「別に、そういう意味じゃない。」
あたしは、そっぽを向いた。
「菜緒ちゃんは悠にいつもべったりだったもんなぁ。」
「違います。そんなんじゃない。」
あたしは、ほっぺを赤くして言った。
「まぁまぁ、そうお気になさらずに。」
不二はいつも、笑顔だった。
「不二ってば、訳わかんない。」
あたしは、少し懐かしい気持ちでドキンとした。
「・・・晴(ハル)って呼んでよ。」
不二はにこっとした。
「・・・は、晴。」
あたしは、顔が真っ赤だった。