殺桜
桜色の運命。
そんなの知るはずもない。
誰が決めた。
なぜだ。
だれだ。
淡いピンク色の世界。
人殺しの桜。
俺は思いっきり睨み付けながら、この犯罪者が答えてくれないのを知っている。
桜はひらひらと花弁をまきちらし、俺を映した。
桜は鏡だ。
罪人はだれだ。
桜は睨んだ。
血にまみれた、醜い俺を。
愛しい君の真紅の血で彩られた、銀色の凶器。
同じ色で染められた俺の手が握っている。
桜は舞う。
ひらひらと。
ひらひらと。
卑屈な音をたてて、ナイフは突き刺さる。
意識が遠退き、バタンと倒れた。
俺が最後にみたのは、君のいる空をさえぎるように覆い被さる、一面の桜色だった。