殺桜


桜色の運命。




そんなの知るはずもない。






誰が決めた。








なぜだ。

だれだ。







淡いピンク色の世界。







人殺しの桜。








俺は思いっきり睨み付けながら、この犯罪者が答えてくれないのを知っている。






桜はひらひらと花弁をまきちらし、俺を映した。







桜は鏡だ。






罪人はだれだ。







桜は睨んだ。








血にまみれた、醜い俺を。










愛しい君の真紅の血で彩られた、銀色の凶器。





同じ色で染められた俺の手が握っている。








桜は舞う。



ひらひらと。

ひらひらと。








卑屈な音をたてて、ナイフは突き刺さる。






意識が遠退き、バタンと倒れた。









俺が最後にみたのは、君のいる空をさえぎるように覆い被さる、一面の桜色だった。






< 6 / 7 >

この作品をシェア

pagetop