この地に舞い降りし女神
序曲-各々ノ思イ-
1.不良剣士ノ場合
男が1人、森を歩いていた。
昼飯時。
真上に輝く太陽が木漏れ日として煌めき、かさかさと小動物の動く音、囀る鳥の声。
木々の葉の青さと爽やかな陽気が、今が初夏であることを告げている。
男の歳は20代前半程だろうか。
淡い金髪の小さなポニーテールが男の歩調に合わせて揺れ、淡い蒼の隻眼が気持ち良さそうに細められ、葉の間から覗く快晴を見上げる。
右目は黒いアイパッチで覆われ、頬まで伸びる傷がアイパッチの下に隠し切れずにある。
その顔の傷を含めても、口許に浮かべた笑みが男に『好青年』といった印象を与える。
灰色のマントの背中の形の歪みから、男が剣士であることが伺える。
「ったく……本当にブツなんだろうな、此処にあんのは」
男が急に顔を顰め、ぼそっと呟いた。
「この雰囲気、“魔”ってより“聖”じゃねぇか、おもっクソ……くだらねぇモンしか無かったらこの辺り一帯焼き払うからな」
『好青年』とは形容し難い口調と内容を紡ぎ、男は溜息をつく。
男は魔剣を探して旅をしていた。
特に当てがある訳でもなく、片っ端から『特別な剣がある』と噂される地域を周っているだけだ。
そしてこの森もまた、そんな噂を持っていた。
昼飯時。
真上に輝く太陽が木漏れ日として煌めき、かさかさと小動物の動く音、囀る鳥の声。
木々の葉の青さと爽やかな陽気が、今が初夏であることを告げている。
男の歳は20代前半程だろうか。
淡い金髪の小さなポニーテールが男の歩調に合わせて揺れ、淡い蒼の隻眼が気持ち良さそうに細められ、葉の間から覗く快晴を見上げる。
右目は黒いアイパッチで覆われ、頬まで伸びる傷がアイパッチの下に隠し切れずにある。
その顔の傷を含めても、口許に浮かべた笑みが男に『好青年』といった印象を与える。
灰色のマントの背中の形の歪みから、男が剣士であることが伺える。
「ったく……本当にブツなんだろうな、此処にあんのは」
男が急に顔を顰め、ぼそっと呟いた。
「この雰囲気、“魔”ってより“聖”じゃねぇか、おもっクソ……くだらねぇモンしか無かったらこの辺り一帯焼き払うからな」
『好青年』とは形容し難い口調と内容を紡ぎ、男は溜息をつく。
男は魔剣を探して旅をしていた。
特に当てがある訳でもなく、片っ端から『特別な剣がある』と噂される地域を周っているだけだ。
そしてこの森もまた、そんな噂を持っていた。