この話にはまだ、題名がない。
「神崎くん」
私の名前を呼んで顔を上げた。
「竹内くん!!」
私は今か今かと待ったような笑みを浮かべた。
「神崎くんも遅刻かい?」
私は尋ねられて一瞬焦ったが・・・
「え、えぇ。そうよ」
と冷静に答えた。
すると、信号の色が変化しそうなことに気がついた。
私は、車が突っ込んでくるのを知っていたから、何て言えば信じてもらえるだろう。
信号の色をじっくり見た私は、ドクンと鼓動が揺れた。