この話にはまだ、題名がない。


少しの間、ぎこちない雰囲気がまわりを装う。


私はちょっぴり震える右手を、懸命に押さえた。



そう、なのだ。

私のノートに昨日やった、数学の授業の内容が入っていないのだ。


私は欠席したわけでもなければ、保健室で寝ているわけでもない。

ちゃんと受けた授業なのだ。


勘違いとは思えない。






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