この話にはまだ、題名がない。



私の不審な行動を一に察知したのは、水沢くんだった。

チラッと私のほうを見る。

時々目が合うと、ニコッと微笑む。

カリカリと進む、シャーペンの音。

キリキリと止まらず動く、時計の針。


私たちの額に汗が流れ落ちる。


「あら、暑かったかしら?」

と時々呼びかけてくる松下先生。

「いえ、なんでもありません」

私たちは表情を変えずにいった。




< 86 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop