FUTARI

<回想>



波美が貴司に背中を向けるように

布団に入ったあと。。。


おやすみ そう声をかけた後、

立ち上がり窓から見える、

いや暗くてみえないが富士山の

ほうを向いて、波美への想いを

めぐらしていた。

波美への想いを整理して、

この想いを確信にする為に。



大きく息をして、波美に近づくと

少し離れた布団の上に

正座して話しかけた。


「波美、起きてる!?」



「寝てるかぁ、疲れたのかなぁ 

寝ててもいい。

今の想いを伝えるよ

一瞬の感情じゃないから、

ちゃんと考えた上でのこと。


6年前のあの時、本当は

東京に残りたかった

お前と離れたくなかったから。

東京を離れる前の日に

ディズニーランドに行った時の

こと覚えてるか?いつか、

迎えにきてねって言ったよなぁ 

あの言葉と涙が俺の頭から

消えることはなかった。

こっちに来て、

何人かと付き合ったけど

俺の何処かに波美がいて

でも迎えに行く勇気がなかった。

もし、誰かいい人がいたら? 

いや、いるだろう。

そんな事はいいか」



「波美、遅くなったけど

迎えにきたよ、迎えにきたとは

言えないかもしれないけど。

ほんとは会社辞めてるんだろ。。 

ここで暮らしてみないか?

暮らすってのは、

そのつもりだから。。

もう1回、明日ちゃんと言うから  

おやすみ 」


そのまま貴司は眠ってしまった



全てを聞いていた波美は

涙を流しながら自分の想いを

整理していた。

そして自ら抱かれるように

身を寄せて眠りについた 。
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