2匹の蝶々


あたしは深呼吸をしてから、手紙を読み始める。

《心へ》

少し癖のある、あたしの愛しい音の字。


あたしは涙を服の袖で拭い、ゆっくりと目を通す。

《心へ

ごめんな。
心が熱を出して苦しんでいるのに、俺は何も出来ない。
こうなってみて分かった。
心を守ると誓いながら、俺は心を守れなかった。
こうやって、ホテルで手紙を書く事しか出来ない。
本当にごめん。
そして、ありがとう。
こんな俺を愛してくれてありがとう。
これからは、俺以外の人を愛して幸せになって欲しい。
俺は心を幸せにしてあげられない。
双子の弟だから。
でも、新しい恋をしていく心を見るのは苦しい。
それにまた一緒にいたら心を傷つけてしまうかもしれない。
だから、俺は家を出ていくよ。
もう、心に会う事はないと思う。
でも、俺はずっと心を愛してる。
永遠に。
ばいばい、心。

音より》


最後まで読み終えた時。

あたしの顔はまた涙に濡れていた。

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