2匹の蝶々
あたしは手紙を握りしめて、布団に顔を埋める。
「い、ん…音…音音!!」
返事がくる筈もないのに、あたしは何度も愛しい音の名を呼ぶ。
布団は涙で濡れていく。
嫌だよ…
どこにも行かないで、音。
あたし、これからどうしたらいいの…??
寂しくて、寂しくて仕方ないよ。
音…戻ってきてよ…―
あたしはベッドから出て裸足のまま外に出る。
「音…どこ!?」
あたしは叫んだ。
「いるんでしょ、ねぇ!!」
すると、後ろから誰かが抱きしめた。
「音…あ」
期待はすぐに砕かれた。
あたしを抱きしめたのは、お母さんだった。
「心、家に戻りましょう。」
「嫌っ…嫌!!」
パシンッ
頬に鈍い痛みが走る。
お母さんはあたしを叩いたのだ。
「お母さ…」
「音は、心のために家を出たのよ!?これ以上、心を苦しめないために!」
「…ううっ」
あたしは冷たいアスファルトの上に泣き崩れる。
お母さんはあたしの肩にストールをかける。
そうだよね…
あたしがこんなんじゃ、音も悲しいよね。
強く、ならなくちゃ。
「さ、家に入りましょ?」
「うん…」
あたしは空を見て、涙を乾かした。
音…ありがとう。
あたしも音にたくさん愛されて感謝の気持ちでいっぱいです。
空に向かって思った。