2匹の蝶々
Three Story
分からない ー心 Sideー
「心…」
目の前にいるのは。
ソファに倒れている、あたしに馬乗りになっているのは。
あたしの双子の弟、音。
なのに。
音じゃない。
いつもの、音じゃない。
「やめっ…んっ」
あたしが口を開こうとすると、すぐ音に塞がれる。
「ねえ、心。気づいてた?」
あたしの両手を押さえつけながら、音は悲しい顔をしてあたしを見た。
「何が…??」
「…俺、小さい時からずっと。心が大好きなんだよ?」
「え…それって…」
あたしは目を丸くした。
「もちろん。双子のお姉ちゃんとしてじゃない。」
「…」
「女としてだ。」
「い、ん…」
あたしは音を見つめた。
おかしいよ、こんなの。
だって。
あたし達は双子で。
それ以上の関係なんて、持っちゃいけない。