2匹の蝶々
「どうって…あたしは…」
山坂くんは優しいし、頼りになるし、好き。
でも、それは。
友達として。
男の子としてではなくて…
「ココアちゃんはさ。俺を男として見てくれてる?」
「え…」
心を読まれたかと思った。
考えてみる。
山坂くんは…
やっぱり友達としてしか、思えない。
そして。
こんな時でも、浮かんでくる顔は…
『心…』
音。
ただ、1人なんだ。
音に対するこの気持ちはまだ何だかよく分からないけど。
「ごめんなさい。山坂くんは友達としてしか、見れないの」
あたしは頭を下げる。
「そか…いや。分かってたよ」
山坂くんは悲しげに笑う。
「他に、好きな奴いんの??」
好きな…奴。
「…よく分かんないの。」
一瞬、音がよぎる。
駄目だよ。
あたし達は双子なんだから。
そう、自分に言い聞かせる。