2匹の蝶々
「まあ、いてもいなくても。俺を見てくれないのには変わりないよな」
山坂くんは意地悪気に笑う。
これは、山坂くんの優しさ。
「…ごめんね?」
「いや。謝らなくていいよ」
山坂くんはあたしの頭をクシャッと撫でて、行ってしまった。
あたしは撫でられた頭を触る。
「…音」
いる筈もない。
彼の名を呼ぶ。
どうしよう。
あたしの気持ちは今。
確実に音に向いている。
こんなの、駄目だよ。
双子なのに…
もしかして。
音はこの気持ちを何年も抱えていたのかな??
そう、思うと胸がズキズキと痛んだ。
この気持ちは…何?